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”垰爐里泙淌垈颪暴擦鵑任い
下着を食べる
人魚に恋をしたことがある
のをした瞬間その度に死ぬ
タ歐紊世韻撚親も生きられる
α瓦討里海箸鳳海鬚弔い討
Д肇ぅ譴帽圓姿を誰も見たことがない
┛Δ靴垢るといなくなる
100種類のもやし料理を作れる

僕らは泣きながら、いつまでたっても直らない横着な生活と彼にまつわる幾つかの伝説を、自分たちのことのように笑った。
傍にいる時には用がなくなり、此処にいないときは会いたくなるような、そんな人間になりたいと彼はいつも言っていた。
今日も床をピカピカに磨き、厨房のアルミフードにマジックリンを吹きかけながら、「掃除をするのは楽しい」と、まるで呼吸をするように嘘をつくのだ。

【うそつき】


「誰かさんたちの数えきれないほどの親切といじわる。

こころを消してからだだけになって恩がえしも復讐もしない。

ばかは気楽でいいやね、って煮込みばっか食べて暮らす。

チョコレート色に煮くずれたモツは、生きるしかないって味がする。

(E崎語録/2009年)」


<E崎略史>
1970年 父母兄4人家族の二男として高円寺に生まれる 区営団地で暮らす
1988年 就職を機に火葬場横四畳半風呂なしアパート(蟹屋敷)へ 独り暮らし開始
           以降、10代の終わりから、20代の全て、30代の全て、40代の初めまでここで暮らす


2009年 3月に音飯に初来店
           E崎軍団誕生(1期生)
2010年 E崎を中心とした(株)どりーむずかむとぅるー構想
           E崎軍団1期生解散
2011年 5月2号店こあら新規開店から1ヶ月間毎日通う
           10月E崎発案の3号店屋号くじらが正式採用 
           12月(株)どりーむずかむとるー発足 非公式ながら初期メンバーに
            E崎軍団復活(2期生)
2013年 2月24年もの間暮らした蟹屋敷を去る 風呂つきアパートに越す
           9月どりかむ新入童貞社員星きんた(元E崎軍団1期生)がE崎新居に居候
          10月に童貞専門どりかむ物件チェリーボーイアパートメント(社宅)に引っ越し
          現役童貞の星きんたと正式に同居生活開始
2014年 (株)どりーむずかむとぅるー正社員採用予定

思えば毎日が宙ぶらりんな頃、
ぼくらはすすんでくだらない日々に巻き込まれようとしてた。
けど、人生どうでもいいと思っているわけじゃなかった。
逆に、自分やこの先の未来に執着しすぎていたのだ。
だらだらとしたむちゃくちゃな日々を過ごすことによって、
これから迎えるリアルな人生をただ先延ばしにしてただけだった。
なりたくないものになりたくなかった。
やりたくないことをやりたくなかった。

そんな日々のなか、ぼくらはE崎に出会った。
馬鹿だった。
ネアンデルタールの残党。
ロマンチックな妄想。
なりたくないものにならなければならぬかもしれない、
やりたくないことをやらなければならぬかもしれない、
そんな思考と彼は無縁だった。
ただ毎日を生きていた。
ぼくらは馬鹿な天使をいつのまにか愛していた。

E崎は誰かに殺される予感をはらんでいた。
言葉巧みな奴等にいつか殺される気がした。
迷彩模様の夕暮れに、彼の喜怒哀楽が殺されてしまうのだ。

ぼくらはE崎を守ろうとした。
夢をみてもらおうと思った。
夢をぜんぶかなえようとした。
そういう会社をつくろうと思った。
社名は、(株)どりーむずかむとぅるーにした。

E崎にすることはすべて、世界がぼくらにすること。

彼を守ろうとすることは、
ぼくらを守ることだった。

E崎、彼の軍団員、いろんな仲間とせわしく過ごす毎日。
宙ぶらりんな日々はとっくに過ぎ去っていた。

そして

<日々のこと>
最終的に泥酔したE崎がやすき節を踊りだし、音飯は最高潮に盛り上がる。
ぼくはそれを深夜に何度も見る。ああ、あともう少しなんだけどな。
いつもそう思ってる。あともう少しで、このひと。が、割れて。
中からでてくる。もう少しで。キラキラしてて、
とっても満ちたりた顔したなにかが。
そう思ってるあいだに、
惜しいところで、
踊りは終わる。
もう。少し。あと、
もう少しで。
も。う。
少。
し。
で。
て。



【てんし】






 



カリーの国のくじらは 2年前に生を享けた
 あれから少し瞬きをしただけで あっというまにこの日をむかえた
天体観測をしながら 世界中を旅する日が来たのだ
 くじらは海を愛し 限りない大航海がはじまった

太陽を煮詰めたスープや 月の滴を探す旅
 曇り空のサラダは 大草原の味がするという
くいしんぼのくじらにとって 星々とはきらめくワインたちであり
 世界中に輝くビールが くじらにとっての星座だった

「あぁぼくの人生において いったい何回の旅があるのだろう
 あぁ限りないな あぁ何万回でもたりないや」
大きなおなかをぐぅぐぅ鳴らし まだ見ぬ料理に胸を馳せる
 絶滅したといわれるあの最高の料理は たぶんあそこに或るはずだ


もう何年もまえから 知っているような気がしてならないのだ









2013年10月22日の火曜日
世界の料理とビールとワイン
『RESTAURANT WHALE』
くじらの真横にグランニューオープン!
curryBALくじらの2号店です。
世界中のクラフトビールやワインといっしょに、
世界中の料理があなたを待ってます。

『REATAURANT WHALE』
[平日]18:00〜翌2:00
[土・日]14:00〜翌2:00
☎03-5327-8682
東京都杉並区高円寺北3-22-8 大一市場

JR高円寺駅北口下車、
純情商店街入口の手前、
八百屋と魚屋のあいだの細い細い路を入ると、
大一市場(飲食店街)のなかにあります。
約30席の世界料理レストランです。

 (株)どりーむずかむとぅるー

【RESTAURANT WHALE】
 


「ただいま新郎よりご紹介に与りました高橋です。
すいません、予定にはなかったのですが、皆さま、むりやり1曲だけよろしいでしょうか(笑)。
それではこの時間だけ、司会から離れまして、1曲だけ歌わさせていただきます。

新郎の貝塚くんとはですね、
あ、ここはいつもの呼びかたで、貝さんと呼ばさせていただきます。

貝さんとはですね、かれこれもう13年の付き合いがあるのですが、
もう何年も同じ職場で働いていまして、
そのときにですね、よく仲間内で流行っていた遊びがありました。

それはロマンティック対決というのですが、それがどんな遊びかといいますと、
ただ単に、自分のこれまでのエピソードを披露して、
誰がいちばんロマンティックなのかを競う、という、まぁくだらないお遊びです(笑)。

ぼくはですね、いままでその勝負に一度も負けたことがない、というのを自負していたわけなんですけど、
その中にですね、どうしてもこの人には敵わない、という人がまして、それが、貝さんでした。

もう、まったくもって歯がたたなかった(笑)。

どんなふうにロマンチックかというのはですね、ここでは新婦もいらっしゃいますし、
いろいろ問題がありますので省かさせていただきますけど(笑)、
あの小さいからだからは想像もできないくらい大きな情熱を秘めていましてね、
まぁ、九州男児というのは、大概にしてロマンティストなのかもしれないですね。

そこでよくいわれる議論になるんですけど、
「はたして、結婚生活において、ロマンティックは必要か」、
と、こういう話になってくるんです。

大きなことばっかりはなして、夢ばっかりみて、
空想的とでもいいましょうか、現実感がない、
それはそれは素晴らしいことばっかり語るわけですよ。

たしかに記念日などには似つかわしいかもしれません。
でも結婚というのは生活でして、毎日つづきます。
そういう日々の中、そんな大きなことばかり語られても、奥さんはこまってしまいますよねえ(笑)。

そんなことより、毎日、普通の、当たり前のことを誠実に積み重ねていく方が、
よっぽど夫婦にとって大事なことだと思います。

でも新婦さん、心配しないでください。

貝さんは、そういった細やかなことにもたいへん気の回る人です。
身の回りの人に対して、繊細に気をつかえるところも、貝さんのいいところです。
そこに、持ち前のロマンティックさが加われば、最高に素晴らしい結婚生活になるのではないでしょうか。

逆に貝さんには、日々の生活にうもれることなく、ロマンティックさだけは隠し持ち続けていただきたいですね。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここで曲を披露させていただきます。
この前置きを踏まえた、ロマンティックな曲です(笑)。
オリジナルソングです(笑)。
こういう状況でオリジナルソングはかなりハードルが高いのですが、
昔から貝さんにふさわしいのではないかと思っていた曲なんです。

しかも今回はアカペラで歌わさせていただきます(笑)。

タイトルも結婚式にふさわしいタイトルではないでしょうか、
「永遠」
というタイトルです(笑)。

へたくそですが、いっしょうけんめい歌います。

それでは、お聴きください。

「永遠」。





永遠に

君のことを

愛してるって

いっちゃった


君はまた

変なことを

いいだしたって

顔してる


「大げさなこと

いわなくっていいよ

毎日普通に

好きでいて」って


なんだ君は

イジワルだな

だって本当に

そう思ったんだ



いっしょにいても

離れていても

いろんなことで

すれちがっても

楽しいときも

消えたいときも

君が僕に

あきれているときも

年をとっても

生まれ変わっても

君が僕を

忘れてしまっても

僕は君を

愛し続けるよ


ロマンチックすぎるかい?




じゃあいいよ

話半分でも

僕の話を

信じてくれよ


でも永遠は

永遠だから

半分でも

永遠さ



いっしょにいても

離れていても

いろんなことで

すれちがっても

楽しいときも

消えたいときも

君が僕に

ムカついてるときも

年をとっても

生まれ変わっても

君が僕を

忘れてしまっても

僕は君を

愛し続けるよ


ロマンチックすぎるかい?





(拍手)

ありがとうございました!失礼しました。

それでは、司会に戻らさせていただきます。」
(2013年9月22日)




-------
<オクターヴィア1>
地球編




2005年の8月8日、地球の高架橋の上でぼくは泣いていた。
コンクリートには、夏の日差しがじりじりと照り付けていて、
流したなみだはあっというまに夏のしめった空気にまじっていく。


「どうしてぼくは きみをみつけたんだろう。
どうしてきみは ぼくをみつけられなかったんだろう。」

どうして?
ほんとうはそんなことかんがえる気なんかない。
この雰囲気にあうセリフを撰んでいただけだった。

あの娘とは、
もう会えなくなるのはわかっていた。

その夏の終わりに、ぼくは、「永遠」という歌をつくった。
ずいぶんと大げさな歌だった。





-------
<なまえのみじかいおんなのこ>
ちがう星編




恋におちるということは、ちがう星にすむのと同じことだ。

そこは地球によくにているけども、みえる景色はまったくちがう。

朝だって、夜だって、ぜんぜんちがう。


街には、恋のかけらがたくさん落ちていて、

その星の住人は、そのかけらをあつめて、毎日暮らしている。

そうしないと、息がつまって死んでしまうのだ。


夜のながさはいちにちごとに変わり、

一瞬でおわってしまう夜もあれば、

もうずっと明けないんじゃないかっていうくらいながい夜だってある。


夜のながさを一定にするためには、

歌をうたったり、詩をかいたりしなければいけない。

そうすることによって、夜は、

なるべく均一に、そして美しく保たれるのだ。


そしてなによりも地球とちがうこと。

それは、

この星でいちばん大きな音は、

心臓の音だ。





20歳の彼女にはじめてあったのは2003年の春で、

ながい髪と、

とてもみじかい名前を持っていた。


出会ったときから彼女は不思議な何かをまとっていて、

その薄いベールを通して、彼女はひかっているようにみえた。


だけども何かに覆われていたのは、

実はぼくの網膜の方で、

彼女はどうしようもないほどに自然体なだけだった。


そんなかんたんなことにも気づかないで、

すぐに彼女に夢中になった。


そしてその日から、

ぼくはちがう星に住むことになるのである。







-------
<心臓の音しかきこえない>
ちがう星編







2年間ずっと、

彼女だけしかみえなかった。







彼女にはずっと、

同い年の恋人がいた。








-------
<オクターヴィア2>
ちがう星〜地球編





2005年8月7日に、

ぼくとぼくの友達たちと彼女は夏の野外コンサート会場にいた。

ひさしぶりにあう彼女はどこかよそよそしく、

ぼくは彼女とほとんどはなさなかった。


太陽がのぼりきると、

彼女がどうしてもみたいといっていたバンドが、

ステージの上にあらわれた。

そのバンドは地球のとはぜんぜんちがっていて、

ぼくと同じ星に住んでいるバンドだということがすぐにみわけられた。

ボーカルの人は演奏終盤にステージ上で局部をだしていたのだけど、

でもぼくはそんなことよりも、このバンドの歌が、

2005年の夏が彼女とすごす最後の夏になる予感をはらんでいるような気がして、

彼女のうしろでこっそりと泣いてしまったのだけおぼえている。



そしてその予感は的中した。



帰りの電車で、ぼくはであって以来はじめて彼女とふたりきりになった。

彼女はなにもはなさないぼくに気をつかっているのか、

いろいろとぼくにはなしかけてきた。

はなしの流れから、結婚のはなしになった。

ぼくはやりたいことがたくさんあって、

それがちゃんとできないと、

好きなひとをしあわせになんかできない。

いまはなんにもできてないけど、

もっともっとがんばって、

いつかやりたいことがかたちにになったら、

ぜったいそのひとをしあわせにする。

そんなようなことを確かいったとおもう。

それに対して、

彼女は、地球の言葉で答えてきた。


「女の子は、そういう事が幸せだと思ってる人たぶん少ないですよ。
知ってると思いますけど、私には彼氏がいます。
彼は高橋さんみたいに、やりたいこととか、大きな夢とかが特にあるわけではないです。
趣味とかも高橋さんみたいにたくさんないし、行動力とかあるわけでもないです。
どちらかっていうと頼りない、ダメな人なんです。
でも毎日、普通に、私のことを好きでいてくれるんです。
でも、そういうことの方が、大事だと思うんです。
夢をかなえなければ幸せじゃないとかじゃなくて、
女の子は、そういう普通のことに幸せを感じるんだと思います。」


ぼくはぜんぜんしらなかった。

ぼくはまいにちいろんな音楽をきいて、

まいにちいろんな映画をみて、

まいにちいろんな本を読んで、

いっぱいいっぱい勉強して、

好きなひとのためにいつかやりたかったことをかたちにして、

それからでないと好きなひとをしあわせにできないと思っていた。

それがぜんぜんちがっていたなんて。


電車のなかでもうぼくたちは会わないほうがいいってはなしをして、

上野駅で彼女と別れ、

かえりの電車でひとり、

いろいろとかんがえながら家にもどった。

彼女のいうことももっともだとおもった。

もう、音楽をきくのも、映画をみるのもやめようとおもった。

とても、悔しかった。

だから、うたをつくろうとおもった。

おんなのこが困るくらいのロマンティックなうたを。

それでいて、おんなのこがいう幸せという意味も同時にわかるような、

そんなうたを。

タイトルは、もうきまっている。

ぼくとおなじ星のバンドがうたっていたうたの歌詞からもらったタイトル。

「永遠」っていう名前のうた。



それから地球にもどり、
ぼくは何日もかけて手紙をかいた。
彼女のことを好きだったということと、
大事なことをおしえてくれてありがとうってことと、
やりたいことをちゃんとやるからどこかでみていてほしいってことと、
自分勝手なことをたくさん書いた手紙をかいた。


その手紙をだしたら、もう彼女にあえなくなるのはわかっていた。
それでもぼくは手紙をだした。


ぼくはあたらしいバンドを組んだ。
もう彼女のことをあきらめたことや、
もう会えないだろうということに皮肉をこめて、
マダスキーアイタイチェンコという名前で、
何曲も何曲も歌をつくった。





-------
<再会>
地球編





貝さんの結婚式の2ヶ月くらい前に、
びっくりするくらいあっけなく7年ぶりの彼女に再会した。

彼女と地球で会うのは初めてだった。

月日というのは、この世で一番優しいものかもしれない。
ぼくと彼女は、もう普通だった。

久しぶりに会った日に一緒に朝まで飲んだ。

彼女のことを好きだったことや、手紙の話はしなかったけれども、
ぼくらは当時の懐かしい思い出話をたくさんたくさん話した。

近況報告やくだらない無駄話などもしたりして、
当時過ごした2年間の間に一緒に話した合計時間など、
その日だけであっというまに超えてしまった。

次に会うことになった2か月後の貝さんの結婚式2次会では、
彼女以外にも当時の仲間が7年ぶりに集結し、
同窓会といった趣になった。

こうすけ、貝さん、ウノ子、ザック、まんご、
昔の仲間が再び集まって会社をやっているというと、
彼女は羨ましそうに喜んでくれた。


ぼくは当時のムードにのまれ、ロマンティックな話をたくさんした。
「あいかわらず気持ち悪いですね」と彼女は笑った。
ぼくも笑った。
普通の友達になれたことが、いちばん嬉しかった。


披露宴での歌の話になり、
ぼくは貝さんに、「永遠」という歌をうたった、と彼女に伝えた。

どんな歌なんですか、と彼女は興味深そうにきいてきた。
ここで歌ってください、とも言ってきた。

ぼくは、歌えないよ、と笑った。



君のおかげでできた歌なんだよと、結局最後まで彼女に言えなかった。




【永遠】

 


BGMはロンリー。


「あそこなら五反田くらいアツいよ」
「そうなんですか!五反田も言うならメッカですからねえ」
「支持されるには理由があるからね。五反田ならではの厳しい条件を勝ち抜いてきた企業努力がちゃんとある」
「でも、どうみても五反田なのに目黒を名乗るビルやマンション多いですよね 」


昼下がりの2階角部屋、居心地のいい陽だまり。アートスペースと銘打つにはあまりにも似つかわしくないくだらない会話が、確かな音を何も持たないインディーズバンドの最高にかっこいい音「と」交じわい混じり合っている。

「と」と名付けられた店は、"夢のどりかむしょっぷ"というふれこみのセレクトショップで、(株)どりーむずかむとぅるー運営のスペースpocke内にショップインショップという形態で開店した。


本当に楽しく過ごした1ヶ月だった。しかしながら厳しい感想をいうと、「と」は、ぼくらの拙さを甘んずる結果になったと思う。

それでは振り返って考えてみる。

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<勇気が足りないセレクトショップ>


「と」は「to」でもあり、ぼくらの向かうべき方角、好意や敵意などの対象、目指すべき到達点、時間の終点、などという意味をも内包している。


「ぜんぜん知らないまま始めること。」(どりかむ宣言)
魅惑的なぼくらのこのスタイルは、いつも数多くの試練と隣り合わせになる。セレクトショップに関して恐ろしいほどアマチュアなぼくらはあまりにも暫定的に 店を始め、そこには商取引の場所としての価値が無視してもいいほど少ないことが予想された。ぼくたちはセレクトに主眼を置くという意識を新プロジェクトの イニシャルモチベーションにした。

ぼくらは最初から間違っていた。

世界はユートピアではない。幾分か修正されているとはいえ、ぼくたちは数々の矛盾・問題点を内包している資本世界の下に生きている。貨幣とアートの関係性 はもちろんのこと、世界はその体制下においてあらゆる要素が有機的に絡み合い物事が進んでいく。世界からみたら末端といっていいぼくらにも、少なからずそ の影響があるはずだ。そこと戦わず、セレクトのみに主眼を置くというぼくらの選択は、ある意味、このような世界からの捌け口としての選択、という側面が あった。そしてぼくらは常にそれによる違和感を抱えながら、約一か月の「と」営業期間を終えることになってしまう。

振り切れていなかった。世界と戦っていなかった。新しい価値観を少しでも探そうとしなかった。

小さな場所とはいえ世界の縮図なのだ。その中で、理想と現実のどちらかの境界を振り切ってしまうくらいの瑞々しいながらも尖った初期衝動を忘れてしまって いた。例えば、「この星は丸くない、本当はただの平面だ。」などと逆説的に言い切ることさえ恐れようとしない類の突き抜けた勇ましさが、ぼくらには足りな かったのである。


それでは、肝心のセレクションについてはどうだったのだろう。

-------

<セレクション>

ぼくらは「セレクトに主眼を置く」と言った。

そもそもセレクトとはいったい何なのだろうか。

誤解を恐れずに言えば、主に80年代以降のカルチャーの中をリアルタイムに生きてきたぼくらにとって、セレクトとは自己表現の手段のひとつであり、有史以 来溢れ返っている芸術などのデータベースを再構築して自分のアートとして獲得する方法論でもある。オマージュというフランス語を誰もが知るところとなり、 コラージュされたアートが溢れ、カルトはディグされ、DJカルチャーが当たり前となり、ぼくらはサンプリング、リミックスされたものが自己表現する世界の中に暮らしている。

ぼくらはセレクトという行為によって自分たちの思惑や情感を表現する必要があった。セレクトされたものをオーケストレーションして自分たちの世界観を造りださなければいけなかった。

はたしてできていたのだろうか。「と」のセレクトを覗いてみる。そこには古材や古道具をその用途を含めて再構築した作品が陳列され、ありもののボディーに サンプリング、リミックスされたグラフィックの服が並び、自身のスタイルを表現するための種々雑多なものが置かれていた。個々のものはそれなりに秀逸なも のもあった。しかしながら、結論から言うと、セレクションによるぼくらの自己表現は中途半端な結果になってしまったのである。それは、マネジメントの稚拙さからきた失敗だった。

-------

<マネジメント>

ここでマネジメントの角度から「と」のセレクトを考えてみる。マネジメントに置いて、重要なタスクは2つあり、プロデュースとディレクションだ。プロ デューサーは(株)どりかむが担当し、ディレクターは長年にわたりE崎軍団員として音飯に関わってきた団員のひとりが大抜擢された。

企画立案
コンセプトメイキング
出資
場所の確保
空間デザイン
ディレクターの人選
商品のセレクト
価格設定
キャッシュフローの設定
宣伝
をプロデューサーが担い、

セレクターの人選
セレクターの配置・管理
空間演出
商品の管理
商品の編集
キャッシュフローの管理
をディレクターに託した。

このタスク分担の羅列をざっと見て考察してみる。

1 コンセプトが感覚的で、"セレクトされたもの自体がコンセプトを代弁するという脆さが伴う前提"を、ぼくらがつくってしまった。
2 セレクトに比重を置いた割に、セレクターが自由に商品をセレクトしまうシステムを採用してしまい、ぼくらが表現しようとした世界観の濃度が薄まってしまった。
3 ディレクターの美意識がストレートに反映される"商品のセレクト"という部分を主にプロデューサーが担ってしまった。

問題点がいくつも浮かび上がる。

ディレクターはよくやってくれたと思う。アイテムの演出や編集作業をセンスよくディレクションし、セレクターとのトラストも確立し、多様な素材を使い彼な りの世界観を確立させていた。しかしながら、商品のセレクト=コンセプトという前提において、彼が血肉としてコンセプトを体感できない状況をぼくらがつ くってしまったのだ。セレクターの乱立とも合わせて、不幸なことに、主題もストーリーも曖昧で主役も脇役も区別なく自由に演技するという、あまりにも生熟 れな演劇を彼に監督させてしまったのである。

資本世界をほとんど無視してまであれほどぼくらがこだわろうとしたセレクションという行為は、あまりにも生半可なぼくらの采配によって、無下となってしまったのだ。

ぼくらのルーツやぬくもりや人間味や趣味や嗜好や造形美や歴史や未来や可能性が粋に表現されたもの。本当の意味でぼくらの世界観が濃縮されていたものは、結局、3万円という値付けで売れていった野良着ただ一着だけだったのである。


-------

<場面転換1 閑話>

男は自分の履歴を、滑らかながら控えめの口調で、されど口賢く語っている。
水商売の女性は聞き手に徹する。

カトリック大学、心理学、フロイト、大学中退、英国デビュー、ミュージシャン、英国留学、経営コンサルタント、ニューヨーク証券取引所。彼の口舌がセレク トした見目好い言葉たち。波乱万丈の半生だったという彼が集めた言葉群が造りだす世界観。ある意味、見事としかいいようがないその世界を背に、彼がさしあたって獲得したい面前の目的。

彼女は目を輝かせている。ただ真意はわからない。輝く瞳が彼女の実の表情なのか、水商売人の習性による装いなのか、それを見分けることができないぼくの器量だけが唯一の慰めだった。


-------

<場面転換2 閑話休題>

人が出払った後のしんとした2階の部屋。

壁には画家・箕浦建太郎の絵画が飾られている。

彼の内面から滲み出してきたようなその作品は、ぼくらが世界からセレクトしてきた品々を静かに見つめている。

その目線は冷やかにも感じられ、もしかしたら見つめてすらいないのかもしれない。

ぼくらのセレクションを背に、世界を咀嚼して表現されたかのような、色彩をともなう彼の筆痕と対峙したときのぼくの感情。

寂しさと希望が入り混じったぼくの感情。

たぶん答えは、その中にある。

「 こたえは、このなかにある。」

心のなかで複雑に混じり合い、浮かんできた数多くのメッセージのいちばん最後を、意味も分からず言葉として口にだした時。

煮え切らなかった8月の日々のことは急速に過去のものになってゆき、 渦巻いていたあらゆる感情の中で、希望だけが鮮やかに浮かび上がった。



【と】


 


世界は記録的な酷暑で死者もでている
高円寺のこの夏のはじまりも例外ではなかった
ぼくらの敬愛するひとりのドキュメンタリストはカメラを持ち
この街の都市感覚のねじれと蒸し暑さを同時に記録した

クライアントのいない写真には何が写っていたのだろうか

加工されていない混沌とした色彩
悪ふざけ ジャンクフード SEXの予感 ぼくらのビジネス
共通項としての汗ばんだ肌
カラーコピーの質感で再現された彼の眼差しが写しだしたものは
高円寺に集まった「まだ何もはじまっていない」何かを持つ人たちの
ざらついた輪郭の群像だった

ぼくらにとってこの夏はあまりにも過渡期で
2013年の7月のことなんてすぐにでも忘れてしまうだろう
だけれどもこの写真群はそんなぼくらの汗ばんだ笑顔に隠れた焦燥や夢を
悪ふざけのなかのヒリヒリとした感触として記録している

ポリティカルにみても重要だったこの夏

たった一冊しかないこのドキュメンタリーをみていつの日かこの日々を思い出してみるとき
ここに佇んでいる密かなぼくらの前夜を懐かしげに語り合えるそんな日が来ることを
「子宮で恋する五秒前」というワックなタイトルが暗示しているような気さえする

 【題府基之 Motoyuki Daifu 子宮で恋する五秒前2013夏@pocke高円寺】




 むげんにある中で
こぶしをあげるくらい
とびきりのそなえが
家の中でじっとしてる
あっというまに夏を
少しかじって海に捨てて
6月のだいたいを
αとaのちがいに費やして
ふふふふふふふふ
ドラを鳴らす人は
こっそり手を振り居なくなって
転がった時計に
足があたるとあやまる人
のこしてくれた服は
黄色以外全部盗まれて
申し訳ない気持ち
写真すらのこらなくて
人型の紙が足の方から
水に浸っていく う・う・う
いままできいた言葉を
本にしてもうけてやろう
ずるい心でいたら
やっぱこれだなとおまえが言う
うまいものを知ってる
きめこまやかなおまえ
ハイとハイの間で
ちぢこまってる子供の
スカートのひだにはかぞえきれない
大人が居る
「手をあげなさ」まで言って
投げる ぽいと
金色までいったら折り返して
次は銀だ
いまはどうしても眠れない
忘れられてしまうと信じてる
ギリシャローマパルテノン
たてまえのまえでひざまづく
5km地点を抜けて
やがて国に布がもどる
う・う・う
あたりの終わり際
つまさきからあたまから
むねあたりをついばむ
くちばしだけ生々しく
見つめてしまうあいだに
大きくなりとんでいって
見送るときは
あれは風船あれは風船
言いきかせて
やたら縁が深い土地に
旅に出たらなんだか
突然にどうでもないよな
気がして
かばんかばんばかばん
ばかもかばも全部つめて
これが光り輝くか
のるかそるかかけてみよう
さいごまでみとどける
君の決意をしかと受けた
この部屋に二人きり
さいごまで見てておいて
さいごのさいごで目をはなして
ランチタイム過ぎるころに
やっとそこの角に気付く
曲がるところを探していた
うぬぼれっていいことないね
いいとこにはやしが生えて
聖なるとこにまっしぐら
血とからだを分けてもらって
ぐりぐりぐりぐり首のうしろ
それってほんとに手加減してる?
眠ったらさいごはしごの下に
おとされるよ思いの外
夢の中でどんぐりを食べる
夢をみたあとに
球体が燃えて
このひとときの恋


【長い歌】













そのいっぷうかわった青や赤や緑で
まずは色として存在していた。

造形の妙が
すこしおくれて現れて
ひとつの美になっていた。

底面をもつものは鎮座し
もたないものは佇み
色彩を放ち
重力に支配されながら。

恋も雨も法律も涙も
ぼくらには全部あったはずのに
それにはなかったけど。

いや
メンソールや天使はあった
ぬくもりもあった
それにはすこし驚いた。

とくに役に立つというわけでもなく
食べれないものを最高だとおもうときがある。

見ようによってはガラクタで
感じ方ひとつで神さまにだってなってしまう
怪しげな美という認識で縁取られた物質が
実は生命維持の大事な装置のひとつになっていることを
ぼくらはいつも忘れがちでいる。

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対比と同期

お店で提供するお酒や食事はとても立体的で、
匂いも味も色も音も美も全部持っていて、
食物連鎖の一部でもあり、
日々のエネルギーでもあり、
趣味や嗜好やルーツを表現する手段でもあり、
それはまたビジネスのツールでもある。

すぐ消えてしまう儚さと、
記憶に残る永遠性を持ち合わせ、
日々のなかでとても身近に存在し、
楽しげで幸せな雰囲気をつねに身にまとっている。

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いろいろなことを感じたEXHIBITIONだった。

彼のセンスや人柄やアイデアがもっと多くの人に伝わればいいな。

そして現時点で欠けているところを補おうとする気持ちが

彼のあたらしい引力となってくれますように。


【フキン展 ニックネーム】












 
雨降りの日は昔のことを思い出す
昔を思い出すと人恋しさが募る
そういうときはママに会いに行けばいい
誰もが昔は子供だったのだ

うまくいったりいかなかったりする人生の
がんばったりがんばらなかったりする毎日で
最後のお酒がいちばん素適だったらそれでいい
大切なのは一日の終わりかたなのだ


(株)どりーむずかむとぅるー、念願のスナックを始めました。
懐かしい映画のような。
思いでのあの曲のような。

看板は、永井博さんです。

食いしんぼのママがいます。


げらげら笑ったりめそめそ泣いたりして
つぎの日にはその理由なんてほとんど覚えていない
そういう飲み方が最高だって
スナック好きなあのひとは言っていた


スナック
『リトルペンギン』

◎営業時間
19:00〜3:00
金・土・祝前日
19:00〜5:00
水曜定休

チャージ ¥1,000
セット ¥2,000

〒166-0003
東京都杉並区高円寺南3-44-18
☎03-5913-9809

【スナックリトルペンギンオープンしました。】














「はずかしながらぁ、もどってまいりましたぁ!」
「ねえねえようさん、これでよかったっけえ?」

「おしい。」
「それを言うなら 『恥ずかしながら帰って参りました』 だよ。」

横井庄一の有名なワンフレーズをひたすら練習するE崎。
出入り禁止になったスナックにまた飲みに行きたくて必死なのだ。

「あずかしながらぁ、かえってもどりましたぁ!」
「あれえ?はずかしながらぁ…なんだったっけえ?」


なんどもなんどもくりかえす。


まだオフィシャルで発表はしていないが、
(株)どりかむは3月末にスナックをオープンし、
なんだかんだでもう1ヶ月は経とうとしている。

E崎はさっそく頻繁に出入りし、
当然のように出入り禁止になった。

他人の情緒がわからない彼の振る舞いが、
どうやらママに嫌われてしまったらしい。

彼は人の気持がなんだかよくわからないのだ。

なにもかも。


青空も、
雨模様も。

ミサイルも、
郷愁も。







僕は21歳のとき、スナックで働いていたことがある。

歌舞伎町の中心部にあったその店は、ホストクラブしか入っていない雑居ビルの最上階にあり、
他人のセックスとセックスの隙間の時間にひっそりと営業してるような店だった。

的屋の愛人のママや売れない役者といった同僚達のかもし出す空気は若かった僕にとって刺激的で、
いかにもその筋の人といった常連さんや毎日のように通ってくるホステス達が歌舞伎町独特の匂いを演出していた。

その雰囲気がこの街の住人や当時の僕にとって居心地のいい場所だった。

深夜手前から朝九時まで働き、
一日四箱のセブンスターを吸い、
芝居や映画の話をし、
流行っていたマルゴー村産の赤ワインを飲み、
ママに肉体関係をせまられ、
最終的に僕はその店を辞めた。

僕は、バンドが忙しくなってきたから辞めさせてくださいとママに嘘をついた。



スナックというカルチャーは独特で、
その土地のその場所でしか味わえない心地いい温度の空気感がある。

理屈では語ることのむずかしい"なんか居心地のいい場所"を提供しようとしてきた僕たちにとって、
そいうった意味でスナックというのは実にうってつけの営業形態なのかもしれない。



「それじゃぁあやまりにいってくるからっ!」

E崎にはめずらしくジャケットを羽織り、
0時を過ぎたころスナックへ向かって行った。

謝るならちゃんとした格好で、と選択した上着なのだろうその古ぼけたジャケットは、
ぜんぜん似合っていないという理由で、
彼にはとてもよく似合っていた。

なんでもネットで済んでしまうこの昨今に足しげく店に通い、
消費以外の理由で自分の居場所を求める彼を見ていると、
いい店の本質とはなんだろう、
何かを心に届ける事の大切さとはなんだろう、
とあらためて考えさせられてしまう。



翌日ママにE崎の様子を聞いてみたが、彼が何を言っていたかはママには意味不明だったらしい。


昨日はどうだったかとE崎に尋ねてみた。


「金八せんせいの格好みたいっていわれたあぁっ!」


大声の返事といっしょに、
満面の笑みがこぼれてきた。


しかしながらE崎はその日にまたスナック出入り禁止続行を言い渡されたという。


【ばか】



 
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